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無三悪趣願

提供: 新纂浄土宗大辞典

むさんあくしゅがん/無三悪趣願

無量寿経』に説く阿弥陀仏四十八願中第一願の願名。道光無量寿経鈔』による。「むさんなくしゅがん」とも読む。義寂は「令国無悪趣願」(『無量寿経述義記』中、恵谷隆戒浄土教の新研究』四二〇)、智光良源は「国土厳浄無諸悪趣願」(智光無量寿経論釈』三、恵谷隆戒『同』四七五/良源九品往生義』浄全一五・一五上)と呼ぶ。自らが成仏した国土極楽世界)に地獄餓鬼畜生がないようにしたいという願。法然は第一願について、『選択集』三では「すなわち、その三悪趣有る粗悪の国土を選捨して、その三悪趣無き善妙の国土を選取するが故に選択と云うなり」(聖典三・一一六/昭法全三一八)といい、『無量寿経釈』では四十八願抜苦与楽の義がある中、「大悲抜苦」(昭法全七四)とする。道光は、願文には三悪趣のみを挙げるが実際には五趣すべてがないとする。『大阿弥陀経』『平等覚経』『無量寿如来会』、梵本、チベット訳のそれぞれ第一願、『無量寿荘厳経』の第一願の一部に対応する。


【資料】『無量寿経鈔』三、『無量寿経随聞講録』上之二(共に浄全一四)


【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)


【参照項目】➡四十八願


【執筆者:齊藤舜健】