念仏無間地獄鈔
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶつむけんじごくしょう/念仏無間地獄鈔
一篇。日蓮撰。建長七年(一二五五)述。日蓮による、浄土宗・法然・『選択集』・念仏等に対する批判を述べたもの。浄土宗の念仏は、「娑婆世界の主師親たる釈尊を捨て、他人たる阿弥陀を信じる」「真実の法華を信じず、方便の念仏を信じる」「一代五時の聖教を難破する」等の理由から地獄に堕ちる業であるとし、また法然在世中から没後まで、山門・南都からたびたび出された訴状、明恵・公胤等が『選択集』に対する反駁書を著したこと等を列挙して、法然は「違勅の者」「正法誹謗の罪人」であると主張する。
【所収】『日蓮聖人全集』(「録外御書」一〇)、『昭和定本日蓮聖人遺文』一
【参考】高木豊『増補改訂 日蓮—その行動と思想—』(太田出版、二〇〇二)、市川浩史「四箇格言の意味—日蓮と念仏—」(福神研究所編『日蓮的あまりに日蓮的な』太田出版、二〇〇三)
【参照項目】➡念仏無間
【執筆者:米澤実江子】