念仏無間
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶつむけん/念仏無間
念仏は無間地獄に堕ちる業であるとの意味。日蓮による他宗批判、「念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊」という四箇格言の一節。『法華経』第二譬喩品に「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば、即ち一切世間の仏種を断ぜん。…其の人命終して阿鼻獄に入らん」(正蔵九・一五中)と説示されていることを拠り所としている。日蓮は、『念仏無間地獄鈔』で「念仏は無間地獄の業因なり。法華経は成仏得道の直路なり」(『昭和定本日蓮聖人遺文』一・三四)と論じているほか、多くの著作で「念仏無間」を主張している。浄土宗ではこれに対し、室町時代に実恵が『摧邪興正集』で三五の条目を立てて反論し、江戸時代に岸了が『弁無得道論』二巻を著して反駁している。
【参考】立正大学日蓮教学研究所編『昭和定本日蓮聖人遺文』一(身延山久遠寺、一九五二)
【参照項目】➡四箇格言
【執筆者:大嶋憲彰】