仏種
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶっしゅ/仏種
成仏のための種子。仏性、如来蔵の同義語。原語の大部分はⓈbuddha-vaṃśaである。Ⓢbuddha-yāna-gotraⓈtathāgata-kula-vaṃśaの用例もある。原語中の「vaṃśa」は元来「竹の茎」の意味。派生して竹の節のつながり・家系・系譜・種族など相続概念を表す。つまり「仏種」は単なる成仏因ではなく、仏・仏教の本質を不断に相続することを含意する。『華厳経』入法界品には「不断仏種」「不断三宝種」の用例がある。「仏性」の同義としては『華厳経』如来生起品に出る。こうした「仏種」に自覚的に住することが菩薩のありようとなる。
【参考】高崎直道「華厳教学と如来蔵思想」(川田熊太郎監修・中村元編集『華厳思想』法蔵館、一九六〇)、香川孝雄「仏種について」(印仏研究一七—一、一九六八)
【執筆者:中御門敬教】