後戸
提供: 新纂浄土宗大辞典
うしろど/後戸
仏堂において本尊を祀る須弥壇の背面に位置する場所のこと。元来は仏堂背面に設けられた扉のことを指し示したが、後に内陣後方の場所全体を示すことが一般的となった。この場合、後堂ともいう。本尊の背後に位置することから、法会の準備や仏具などの収納といった裏方的な役割を担う。その一方、後戸に後ろ向きに神仏が祀られたり、芸能が演じられる場となることもある。浄土宗寺院では、釈尊を祀ることが多い。本尊背面の出入り口という、聖と俗の境界的な位置であることから、多義的な役割を担う場所となっている。
【参考】山岸常人「『中世仏堂』における後戸」(『仏教芸術』一六七、毎日新聞社、一九八六)
【参照項目】➡裏堂
【執筆者:中村琢巳】