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延命地蔵

提供: 新纂浄土宗大辞典

えんめいじぞう/延命地蔵

衆生寿命を延ばし利益することを誓願とする地蔵菩薩のこと。地蔵菩薩ⓈKṣtigarbhaに延命の利益があることは、『地蔵菩薩本願経』上「如来讃歎品」に「新たに産まれし者有らんに、或は男或は女、七日の中、早くために此の不思議経典を読誦し、更に為に菩薩の名を念じて万遍を満すべし。是の新生の子、或は男或は女、宿に殃報あれども便ち解脱を得て、安楽にして養い易く、寿命増長せん。若し是れ福を承け生るる者ならば、転た安楽と及び寿命とを増さん」(正蔵一三・七八三中)、『同』下「見聞利益品」に「地蔵菩薩の形像を塑画せば、是の人、若し是れ業報にして重病を受くべき者ならんに、斯の功徳を承けていで即ち除きえ、寿命増益せん」(正蔵一三・七八八上)とあることから知られる。ただし延命地蔵という名称はインド撰述文献には見られず、日本撰述経典である『延命地蔵経』が初出。その信仰は江戸時代が中心であり、延命長寿、短命の難から免れることが願われた。形像は僧形で、右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、左足をたれた半跏坐のものが多いが、兵庫県相生市高取峠の延命地蔵尊など、中には立像もある。


【参照項目】➡地蔵菩薩


【執筆者:齊藤舜健】


延命地蔵(兵庫県・高取峠)