大胡の太郎実秀が妻室のもとへつかわす御返事
提供: 新纂浄土宗大辞典
おおごのたろうさねひでがさいしつのもとへつかわすおへんじ/大胡の太郎実秀が妻室のもとへつかわす御返事
法然が大胡太郎実秀の妻に宛てた返信。『四十八巻伝』二五は、大胡太郎実秀に宛てたものとし、また真観房感西を執筆として書き遣わせたものとする。『和語灯録』(浄全九・五六二上)は、正治元年(一一九九)の文で、使いは蓮上房尊覚とする。内容は、まず往生極楽のためには念仏に勝る行のないことを説き、それは念仏が阿弥陀仏の本願であるからと述べ、『無量寿経』を引いて本願の説明をする。次に念仏とは、仏の法身を憶念したり、相好を観念したりするものではなく、阿弥陀仏の名号を称えるものであることを説く。さらに極楽往生の行には様々なものがあるが、我々の往生は、念仏以外では叶い難いことを述べ、『無量寿経』や『観経』、また善導の書物などを引いて念仏の功徳を述べる。最後に、信心を深く持って二心なく念仏を称えることを勧めている。
【所収】聖典四・四〇八~一五、同六・三七五~八〇、昭法全五〇七~一四
【参考】安達俊英「御法語の背景—法然上人典籍研究」三五—七(『宗報』平成一六年二月号~四月号)
【参照項目】➡大胡消息
【執筆者:石田一裕】