声塵説法
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうじんせっぽう/声塵説法
仏は衆生のために六塵説法をもって教化するが、特に聴覚(耳根)の認識対象となる音声(声塵)によって説法することをいう。閻浮提に住む衆生は他の五根に比べて耳根がもっとも勝れている。そのため釈尊は多く音声をもって説法教化したという。良忠は『伝通記』三において、『観経疏』玄義分の「〈説〉と言うは、口音に陳唱す」(聖典二・一六三/浄全二・二下)を釈して「口音陳唱とは、如来の説法、六塵に通ずるが故に簡異の釈を作りて是れ声塵なることを顕わす。凡そ諸土の相多種不同なれば、如来の化儀亦た一準ならず。若し眼根利なる国土有るには多く色塵を以て法を説いて化し、若し耳鼻舌身意利なる為には次の如く声香味触法を以て法を説いて化す。今、此の娑婆は耳根利なるが故に多く声塵を以て法を説いて化す。此の義を顕わさんが為の故に口音陳唱名説と云う」(浄全二・一三八下~九上)としている。また、今日では僧侶の説法を指す言葉としても使われる。
【参照項目】➡六塵説法
【執筆者:宮入良光】