四種三昧の念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
ししゅざんまいのねんぶつ/四種三昧の念仏
智顗が体系化した四種三昧の行は、ことごとく念仏に関連するという捉え方。最澄は天台宗を開くにあたり、止観を実践する止観業と密教を修する遮那業のうち、止観業は四種三昧を修めるものとしている。それを修する施設として四三昧院を比叡山に作ろうとし、後に法華三昧堂と常行三昧堂が作られ四種三昧が修された。その後、天台宗では口伝法門が盛んになるが、四種三昧やその本尊も口伝の対象としてしばしば扱われるようになる。たとえば、『天台名匠口決抄』一の三三ある口伝中、第一一「四種三昧本尊事」(仏全一八・二五〇上~下)では、阿弥陀仏が三諦三観の主により四種三昧の本尊であると説いている。四種三昧をそれぞれ個別にする場合は各三昧で説かれる本尊になるが、これらを通じて行う場合はこのように阿弥陀仏を本尊とすることが多くなり、日本独自の四種三昧法を生み出した。常行三昧ではもともと阿弥陀仏を本尊とするが、常坐三昧では理観を、半行半坐三昧では念仏や懺悔などを阿弥陀仏に対して行うようになり、非行非坐三昧でも心のはたらきの起こるのを法身の阿弥陀仏によるものと観じていくようになった。
【参照項目】➡四種三昧
【執筆者:横田善教】