十念法
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうねんほう/十念法
十遍の称名念仏を称える方法。連声十念と切り十念(授与十念)がある。連声十念については『法要集』(昭和一四年版)に「十念の指示は相伝による、但し其唱え方は第一念より第八念迄は〈ツ〉を言わず、第九念を〈ブツ〉と唱え、第十念」とその唱え方が示されている。この中「十念の指示は相伝による」とあるのは、十念の数を満ずる法を指すもので、曇鸞『往生論註』巻上末尾に「若し必ず知ることを須いば亦方便有り。必ず口授を須て。之を筆点に題することを得ず」(浄全一・二三七上/正蔵四〇・八三四下)と記されるように古来口伝とされ、現在は僧俗ともに五重相伝の密室道場において伝えられている。唱え方は第九念のみ「ナムアミダブツ」と「ツ」を発音し、その他は「ナムアミダブ」と称えるのが連声十念法である。能化は第一念から第八念まで一息で唱えるのを基本とするが、檀信徒の場合は第八念までを四遍・四遍に分けて称えるように指導してもよい。切り十念は能化から所化・檀信徒へ授与する場合の十念法である。能化が一声ずつ区切って称える念仏を所化・檀信徒が復唱するもので、受ける側は数にとらわれることなく十念を満ずることができる。この場合は第一念から第十念まですべて「ナムアミダブ」と発声する。
【参照項目】➡授与十念
【執筆者:熊井康雄】