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摂法身願・摂浄土願・摂衆生願

提供: 新纂浄土宗大辞典

しょうほっしんがん・しょうじょうどがん・せつしゅじょうがん/摂法身願・摂浄土願・摂衆生願

阿弥陀仏四十八願を内容から三種に分類した、それぞれの名称。浄影寺慧遠が『無量寿経義疏』上に「中において合して四十八願有り。義要には三、文別に七有り。義要には三とは、一には摂法身願、二には摂浄土願、三には摂衆生願なり」(浄全五・二七上)として、四十八願を三種に分類した。この分類は吉蔵憬興きょうごうらに受け継がれていき、四十八願の一般的な分類法となった。摂法身願とは、仏に関する願であり、どのような仏になるのかを選択して建てられた誓願であり、憬興は求仏身願と名づける。第十二、十三、十七の三願がこれに当たる。摂浄土願とは浄土に関する願で、成仏後に居す浄土荘厳選択して建てられた誓願であり、憬興は求仏土願と名づける。第三十一、三十二の二願がこれに当たる。摂衆生願とは衆生に関する願で、衆生利益することを誓った、残りの四三願のことを言い、これを憬興は利衆生願と名づけている。道光無量寿経鈔』もこの分類に依っている。また聖冏は、『釈浄土二蔵義』二二において「義類不次第の七重」として、摂衆生願摂凡夫願摂聖人願に大別し、摂凡夫願をさらに摂自国願と摂他国願の二つに、また摂聖人願を摂声聞願と摂菩薩願に分け、摂菩薩願をさらに摂自国願と摂他国願に分類している。また摂法身願の「法身」とは、『無量寿経鈔』三で「問う。法身無相非色非心なり。何ぞ寿光等を摂法身と名づくるや。答う。瓔珞経に云く、法身に二有り。一に果極法身。二に方便法身。(巳上)いま則ち第二なり。また密教の中の四種法身もまたその例なり」(浄全一四・七一下)と言うように、法・報・化三身法身のことではない。


【参考】坪井俊映『浄土三部経概説 新訂版』(法蔵館、一九九六)、藤田宏達「無量寿経—阿弥陀仏と浄土—」(『浄土仏教の思想』一、講談社、一九九四)


【参照項目】➡四十八願


【執筆者:曽和義宏】