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懺悔道場

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんげどうじょう/懺悔道場

五重相伝授戒会で、相伝を受けるに先立ち、身口意の三業清浄にするために本尊前で懺悔する道場懺悔会あるいは懺悔式ともいう。消灯した堂内に受者が一人ずつ入堂して仏前で懺悔し、導師または暗説師が懺悔を説示する。儀式としては暗夜道場から光明道場に転ずる形式であるが、その方式は地方によって大きく異なり、大和式、近江式、縁山式の三種に大別される。①大和式の道場は、導師阿弥陀仏として仏前で外陣げじん向きに着座し、釈尊である暗説師が導師と向き合う二尊遣迎の形をとる。受者は線香を持って入堂して仏前で線香を消し、ふせがねを一下(金打きんちょう一下)してから所定の場所に着席し、暗説師は受者の後方から説示する。終わると「広懺悔」(訓読)を唱え、「摂益文」で点灯して光明道場に転ずる。導師は仏前向きに転座して、念仏繰上くりあげ礼拝を行い、本巻を仏前に積み上げる。②近江式は懺悔道場へ入る前に、書院で誓約式を行う。受者は書院伝灯師脇師前で制誡を受けて誓約を行い、線香を持って一人ずつ本堂入堂する。本堂では暗説師が外陣向きに着座して待ちうけ、受者は仏前で線香を消して金打三下する。全員着席の後、暗説師は閻魔大王の立場として内陣から説示を行う。暗説退堂後、点灯して光明道場となり、伝灯師脇師入堂して十悪懺悔礼拝を行う。③縁山式は『法要集』所載の「懺悔会」で、消灯した本堂の仏前左右に脇師が着座して受者を待ち受ける。受者は氏名を記入した懺悔紙を持って一人ずつ本堂へ向かい、手引(六道僧)が持つ線香の灯りを頼りに仏前で懺悔紙を捧げる。全員が着席すると脇師退堂、入れ替わりに導師入堂する。「広懺悔」が読誦されるなかで、焚焼師が懺悔紙を浄焚する。その後導師外陣向きに転座して説示、「摂益文」で導師が転向すると同時に光明道場に転ずる。


【参考】『布教羅針盤 勧誡編「行」』(浄土宗、二〇〇二)、『同 勧誡編「解」』(同、二〇〇三)


【参照項目】➡懺悔会懺悔滅罪


【執筆者:熊井康雄】