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懺悔会

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんげえ/懺悔会

五重相伝授戒会において、正伝法に先立ち、受者の身心を浄めるために仏前に懺悔する儀式。懺悔式ともいう。授戒会で捧読される『梵網経菩薩戒序』に、「自ら罪有りと知らば当に懺悔すべし。懺悔すれば即ち安楽なり。懺悔せざれば罪ますます深し」というように、伝法を受ける前には、必ず懺悔して、身心を清浄にしなければならない。式の前半を、煩悩に閉ざされた無明の闇を表す暗夜道場、後半を阿弥陀仏光明に照らされることを表す光明道場とするのが通例であるが、古来、先徳によりさまざまな方式が考案され、通称、大和式、近江式、縁山式などと呼ばれている。『法要集』上に示される懺悔会は、前机導師机の中間に浄焚用香炉を準備して、道場内を暗闇とする。受者は控室で懺悔紙に自署し、これを持って順次入堂、仏前に至って焼香礼拝の後、懺悔紙を机上に置き、所定の位置に着座する。懺悔紙は「広懺悔」奉読中に浄焚し、「摂益文」で点灯し、後半の、堂内を明るくして行う光明道場になると、導師が講説(説誡)を行い、受者は礼拝回向の後、退堂する。これに近いのが縁山式の懺悔会である。大和式では、説誡を行う暗説師は釈尊の名代であり、阿弥陀仏の名代である伝灯師と向かい合う二尊遣迎の形をとり、本来は、本尊から暗説師の間に白道を敷き、その両側を受者席とする。受者は線香を持って入堂し、所定の位置で線香を消し、金打きんちょう(鉦を一打)して席に着く。暗説師説示、「広懺悔」の後、「摂益文」で点灯し、礼拝念仏する。近江式は、書院式懺悔式に分けて行う形式で、まず書院式制誡被読、受者血誓の後、線香を持って入堂し、所定の位置で線香を消し、金打して席に着く。説誡を行う暗説師は、閻魔大王の名代として、内陣側から説示する。点灯後、十悪懺悔(三唱一礼)、「摂益文」「念仏一会」を勤める。


【参考】『布教羅針盤 勧誡編「行」』(浄土宗、二〇〇二)、『同 勧誡編「解」』(同、二〇〇三)


【参照項目】➡懺悔道場


【執筆者:熊井康雄】