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宗脈化他門伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

しゅうみゃくけたもんでん/宗脈化他門伝

宗学を研鑽した人に宗要を伝授することをいう。五重伝法を受けた浅学衆が、さらに宗門の経論釈を学び、法臘ほうろうの満ちた碩学衆相承する宗脈本伝をいう。碩学相承、学匠相承ともいう。五重自証門伝、浅学相承に対する伝法用語。道誉貞把と感誉存貞の道感二師は、五重(自証)と宗脈(化他)を分ける箇条伝法を行った。貞把は宗脈九箇条とし、存貞は宗脈を五箇条とした(林彦明五重大会勧誡講録』五四、知恩院、二〇〇九)。『吉水瀉瓶訣』三には、第一化他、第二都部、第三授手印、第四総口伝、第五凡入報土としている(『伝灯輯要』八六七)。『浄土宗法度』第三・四条では円戒伝授と両脈伝授の時期を定め、碩学衆には円戒を伝授するが、浅学衆には授けないとし、浄土修学が一五年に至らない者は両脈伝授をしないと規定した(「山門通規」『増上寺史料集』三、一九三)。寛文一一年(一六七一)には、五重は修学五年、血脈(宗脈)一〇年となり(同書三、八)、寛政三年(一七九一)には五重は三年、宗脈は七年となった(同書三、二八六)。『浄土宗鎮西派規則』(明治九年〔一八七六〕三月)には、旧規古則として、「五重は夏﨟五閲已上、宗脈は七閲、布薩は満二十年以上に至てこれを伝う」とあるのを、更定して「五重宗脈は随宣開遮法を用ゆ。但し三たび夏﨟をけみる者にあらざれば許さず」とし、五重と宗脈は三年となった(第四条法脈伝承の事、九オ)。『浄土宗制規類聚全』の伝宗伝戒規程(明治二三年〔一八九〇〕七月)には、伝宗伝戒は宗戒一期に伝授し、宗戒の譜脈および璽書を授受するとした(浄土教報社、二四六)。現行伝宗伝戒道場では、五重自証門伝宗脈化他門伝を伝授している。


【参考】鈴木霊真『浄宗伝法各流伝目集』(私家版、一九五二)、恵谷隆戒『浄土教の新研究』(山喜房仏書林、一九七六)、服部英淳『増上寺伝法勧誡講録』(増上寺、一九九一)


【参照項目】➡五重自証門伝五重相伝浅学相承・碩学相承


【執筆者:西城宗隆】