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浄土宗鎮西派規則

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうどしゅうちんぜいはきそく/浄土宗鎮西派規則

明治九年(一八七六)三月に発布された諸本山および檀林寺院の合議によって制定された、三章一八条付録二条からなる規則。そこでは、明治新政府への政権移行に伴う時勢変化に応じることを目的に、教学振興、宗侶養成、寺院教団制度の整備など浄土宗全体に関わる事柄が定められている。ただ、江戸期に発せられた元和条目およびそれ以後の定書・覚書と類似する点も多かった。この規則において特に注目すべきは伝法権に関する条項である。そこでは増上寺、諸檀林の権勢が制限され、知恩院側の教権伸張の兆しを窺い知ることができる。浄土宗鎮西派規則は、知恩院を中心とする浄土宗教団の再編を法規的に裏づける性格を有していたとする見方もある。


【参考】恵谷隆戒『補訂 概説浄土宗史』(隆文館、一九七八)、伊藤唯眞「明治初期における浄土宗教団の再編について—浄土宗鎮西派規則をめぐって—」(『伊藤唯眞著作集四 浄土宗史の研究』法蔵館、一九九六)


【執筆者:江島尚俊】