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吉水瀉瓶訣

提供: 新纂浄土宗大辞典

よしみずしゃびょうけつ/吉水瀉瓶訣

五巻。隆円撰。文政六年(一八二三)作。増上寺で修学した洛東専念寺隆円が、出家者に対する伝法口訣の稿本を組織立ててまとめたもの。自序の題辞において、護法の微志で成したもので、これが護法か越法かは後の判につとしている(『伝灯輯要』八二六)。また在家者には化他信法のみ、出家者には学人伝法許可するとしていて、これに従い隆円は本書に対比して在家者向けに『浄業信法訣』を撰している。五巻に亘る内容は、一巻は第一が因縁分、第一の余が道場分、二巻は第二密室分、三巻は第三が宗脈分、第三の余が引導分、四巻は第四円戒分、璽書分・浄土頓教布薩一乗戒儀軌浄土布薩一乗戒、五巻は拾遺。以上で構成されていたが、『伝灯輯要』収録時には第四巻の浄土頓教布薩一乗戒儀軌浄土布薩一乗戒が削除され、そこに第五巻拾遺の伝法或問・或問増補部分が組み入れられている。


【所収】『伝灯輯要』


【参考】大澤亮我「吉水瀉瓶訣について」(『仏教論叢』五八、二〇一四)


【参照項目】➡浄業信法訣


【執筆者:野村恒道】