眷属
提供: 新纂浄土宗大辞典
けんぞく/眷属
一般には一族、親族、身内、仲間の意。仏教では特に仏・菩薩を取り巻くもののことをいう。原語はⓈparivāraⓈpariṣad。仲間、付き添い、侍者、従者、または取り囲むの意。大衆、囲繞などと漢訳される。『大智度論』三三では、仏の眷属に内眷属と大眷属の区別があり、内眷属に出家前の釈尊に給仕していた車匿(チャンダカ)や出家後、釈尊の苦行に同行した五人の給仕、得道の時の阿難などを挙げ、大眷属に舎利弗・目連等の聖人や弥勒・文殊などの菩薩たちを挙げる。『観経疏』序分義では、眷属を在家と出家とに区別し、在家を外眷属として仏の伯父・伯母・叔父・叔母の四人を挙げ、出家を内眷属として仏の弟子のこととする。仏・菩薩の眷属として代表的なものに、薬師如来の十二神将、不動明王の八大童子、千手観音の二十八部衆などがあり、その仏や経典を信仰する者たちを守護するものなどとして位置づけられている。なお『無量寿経』の第十五願に眷属長寿願がある。また曇鸞の『往生論註』下では、『往生論』観察門に説く極楽浄土二十九種荘厳のうち、国土十七種の功徳荘厳の「如来浄華の衆、正覚の華より化生す」(聖典一・三五七/浄全一・一九四)とある二句を荘厳眷属功徳成就と名付けている。
【資料】『大智度論』(正蔵二五・三〇三上~下)、『観経疏』(聖典二・五八)、『往生論註』(浄全一・二四四上)、『無量寿経』(聖典一・二二六/浄全一・七)
【参照項目】➡六親
【執筆者:北條竜士】