浄土四流
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどしりゅう/浄土四流
法然門下の分派を示した説の一つ。聖光の鎮西流、隆寛の長楽寺流、証空の西山流、長西の九品寺流の四を指す。古くは文保三年(一三一九)書写の『観経玄義分聴聞抄』(金沢文庫保管)や、応永七年(一四〇〇)撰の良栄理本『十六箇条疑問答見聞』にこの四流の記載が見られる。近世までは法然門下の分派説として最も依用された。元禄九年(一六九六)に懐山が撰した『浄統略讃』には「念仏本願聖光房 諸行摂機生報土…諸行不生善恵房 念仏任持生報土…無明除断隆寛房 諸行辺地称名報…諸行本願覚明房 勝劣二願同生報」(続浄一七・三八一下~二上)とこの四流各派の思想的特徴をまとめた偈頌が記載されており、この偈頌は中古にさかのぼるものというが、出典は定かではない。
【参考】塚本善隆「法然上人門下の分派—とくに四流説について—」(『塚本善隆著作集』七、大東出版社、一九七五)
【参照項目】➡鎮西流、長楽寺流、西山流、九品寺流、法然門下の異流
【執筆者:吉田淳雄】