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正定聚

提供: 新纂浄土宗大辞典

しょうじょうじゅ/正定聚

仏になれることがまさしく定まっている人々、あるいはその境地のこと。Ⓢsamyaktva-niyata-rāśiなどの訳語。定聚、正定之聚とも同義。「聚(rāśi)」とは「(人々の)集まり」の意味。ただし実際には、仏となれることが定まっている「境地・位」を指す場合が多い。浄土教において正定聚は、四十八願の第一一住正定聚願、およびその願成就文(聖典一・二四九/浄全一・一九)に説かれるとおり、極楽往生したなら自ずと得られるものとされる。ただし、親鸞および浄土真宗においては、それは往生後ではなく、往生の確信が得られたとき、現生げんしょう現世)で往生が定まるので、その際に正定聚も得られると説く。これを現生正定聚という。なお、『往生論註』『安楽集』をはじめとして、浄土教では正定聚とは阿鞞跋致あびばっち(=不退転)を指すとされるが、第十一願等で説かれる正定聚は、位不退(到達した修行階位から退転しないこと)ではなく処不退(極楽浄土という世界から退転しないこと)であるとするのが一般的理解といえる。この点に関し、道光は『無量寿経鈔』(浄全一四・八一下~二上)において、第十速得漏尽願では位不退、第十一住正定聚願では処不退が誓われていると解釈する。一方、第二不更悪趣願も第十一願同様、処不退を説くが、第二願が不退に限るのに対し、第十一願の正定聚は不退のみならず悟りを確約しているので、両者は異なるとする。


【参照項目】➡阿鞞跋致三不退四不退住正定聚願


【執筆者:安達俊英】