光明無量願
提供: 新纂浄土宗大辞典
こうみょうむりょうがん/光明無量願
『無量寿経』に説く、阿弥陀仏の四十八願中第十二願の願名。道光『無量寿経鈔』による。義寂は「得勝光明願」(『無量寿経述義記』中、恵谷隆戒『浄土教の新研究』四二〇)、智光は「光明遍照無数諸国願」(『無量寿経論釈』三、恵谷隆戒『同』四七六)、良源は「光明遍照無数仏国願」(『九品往生義』浄全一五・一六下)と呼ぶ。成仏したなら、自身の光明の輝きには際限が無く、無数の仏の国土を照らすことができるようになりたい、という願。法然は『三部経釈(三部経大意)』に「光明無量の願は横に一切衆生を広く摂取せんがためなり」(聖典四・二八八/昭法全三二)と述べて、この願が空間的に十方世界の衆生を摂取するためであり、第十三願寿命無量願が時間的に永く摂取するのと併せて、一切の衆生に阿弥陀仏との縁を結ばせようとして立てられたものとする。なお、『無量寿経』上の後段に見える「無量寿仏の威神光明、最尊第一なり。諸仏の光明、能く及ばざる所なり」(聖典一・二三七/浄全一・一三)はこの願の願成就文とされる。『大阿弥陀経』の第二十四願、『平等覚経』・梵本・チベット訳のそれぞれ第十三願、『無量寿如来会』の第十二願がそれぞれ対応する。『無量寿荘厳経』には対応する願文がない。
【資料】道光『無量寿経鈔』三、義山『無量寿経随聞講録』上之二(共に浄全一四)
【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)
【執筆者:齊藤舜健】