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五劫思惟阿弥陀

提供: 新纂浄土宗大辞典

ごこうしゆいあみだ/五劫思惟阿弥陀

法蔵菩薩衆生救済のために五劫の長期にわたって思惟したときの様子を造形化したもの。『無量寿経』上に説く「五劫を具足して、荘厳仏国清浄の行を思惟し摂取す」(聖典一・二二四/浄全一・六)の一文を典拠とする。大衣通肩にまとい結跏趺坐し、定印もしくは合掌印を結ぶ。長大な螺髪らほつによって頭部を覆うところに特徴がある。現在、鎌倉時代より前に遡る作例は確認されておらず、当形式の造像は、この時代がその濫觴らんしょうと考えられている。代表的な作例に奈良市五劫院像(国重要文化財)と東大寺像(国重要文化財)、京都地蔵院(通称椿寺つばきでら)の本尊などがある。


【参考】光森正士「阿弥陀仏の異形像について」(『仏教美術論考』法蔵館、一九九八)【図版】巻末付録


【参照項目】➡五劫思惟


【執筆者:藤田直信】