三匝
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんぞう/三匝
三度回ること、また普通は右繞三匝(右回り)という熟語として使用する。インドの旋礼法の一つで、右繞三匝の礼が最高の礼を尽くしたものである。例えば死者や仏に対して礼を尽くす場合、僧侶は右が浄身浄肩、つまり右手は仏の手、左は不浄の手といって、衣や袈裟で左肩を覆い、右肩を出し浄身を中心に右回りに周りを三度回る。また古代インドでは貴人に対して敬意を表すときなどに、右脇を貴人に向けてその周辺を三度回った。『大般涅槃経』などでは、迦葉や諸の比丘達が釈尊の滅後に駆けつけ、棺を三匝もしくは七匝したとされている。『無量寿経』では三匝を「光を廻らして身を囲繞すること三匝して頂より入る」(聖典一・二五二)や「仏足を稽首し、右に繞ること三匝」(聖典一・二二〇)などと用いている。この回る回数については、一匝は一心帰命、三匝は三業・三徳・三尊を供養して煩悩の根本である三毒を消滅し、七匝は七覚支をあらわすというように意味づけられている。
【参照項目】➡右繞
【執筆者:薊法明】