一心院念仏道場清規
提供: 新纂浄土宗大辞典
いっしんいんねんぶつどうじょうしんぎ/一心院念仏道場清規
捨世派本山一心院に伝えられていた念仏道場の規則。捨世派派祖である称念が定めた清規には、『念仏道場七箇条』『十一条別時念仏道場掟』がある。その条目は、まず『念仏道場七箇条』には、「一、世間の名利を希望せず、偏に出離の要法を専らとすべきの事。一、当院居住の仁は交衆除せらるるべし。但勤行を専一にすべきの事。一、酒肉葷辛は仏制の故門内に入ることを許さず況やこれを用いるは邪の事。一、窃盗淫妄は梵網所説の四重禁也。別して当院別時道場は訖度堅固相守べきの事。一、昼寝すべからず。但し自然の病患を除く。その余は長く禁止致すべきの事。一、仮令自らに道理ありと雖も、他に対し口論致すべからざるの事。一、歌舞管絃高笑雑談禁ずるの事」(浄全一七・六四七下~八上)とある。また、次の『十一条別時念仏道場掟』は、毎月一日から八日(あるいは七日)に行われた別時念仏会(正朔別行)に関する規則で、十一箇条を定めており、「一、見仏の念に住すべき事。一、西に向かいて合掌をなすべき事。一、道場の内念珠持すべからざるの事。一、道場の内称名の外無言とすべき事。一、道場の内眠るべからざるの事。一、他人の眠を暴き驚くべからざるの事。一、道場の出入り合掌をなすべき事。一、悪事の思惟あるべからざるの事。一、道場の出入緩怠あるべからざるの事。一、別に説法の間小分も眠るべからざるの事。一、食事飽満あるべからざるの事」(同六四八上)の条目がある。この清規から称念が清浄なる念仏道場の建立を目指していたことがうかがえる。
【資料】『称念上人行状記』
【執筆者:東海林良昌】