いっさいごっしょうかい／一切業障海

祖山流声明の伽陀の一つ。合曲・盤渉ばんしき調・出音商。「一切業障海　皆従妄想生　若欲懺悔者　端坐思実相」（『観普賢経』正蔵九・三九三中）。『観普賢経』には「念実相」とある。「一切の業障の海は、皆妄想より生ずる。もし懺悔せんと欲する者は端坐して実相を思うべし」。句頭師（伽陀師）は出音商で上無かみむの音で発音し、業障海の「海」字に至って宮音きゅうおんの盤渉で発声し、同音の大衆へ渡すことになっている。現在、全句を唱えることはほとんどなく、三句目のみ略するのを中略、一句目と四句目のみ唱えるのを極略と称している。曲中に出てくる商角のソリに続くスグは角スグで唱えるのが古伝であるが、現行は天台・浄土両宗とも徴ちスグで唱えることになっている。

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【参考】『浄土宗声明集』（知恩院、一九八七）

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【執筆者：清水秀浩】