十念往生願
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうねんおうじょうがん/十念往生願
『無量寿経』に説く、阿弥陀仏の四十八願中第十八願の願名の一つ。浄土宗では念仏往生願と呼び、この願名は用いない。法然は『選択集』三に、「諸師の別して十念往生の願と云えるは、その意すなわち周からず。然る所以は、上一形を捨て、下一念を捨つるが故。善導の総じて念仏往生の願と云えるは、その意すなわち周し。然る所以は、上一形を取り、下一念を取るが故」(聖典三・一二三/昭法全三二一)と述べて、十念往生願では願意が全うされていないとする。なお、智光は「諸縁信楽十念往生願」(『無量寿経論釈』三、恵谷隆戒『浄土教の新研究』四七六)、良源は「聞名信楽十念定生願」(『九品往生義』浄全一五・一八)と呼び、十念の語を願名に加える。
【資料】『無量寿経鈔』三、『無量寿経随聞講録』上之三
【執筆者:齊藤舜健】