直綴
提供: 新纂浄土宗大辞典
じきとつ/直綴
法衣の一つ。褊衫と裙を一つに綴り合わせた法衣。普通、「ころも」と呼ばれ、普段一般に用いられる。百丈懐海(七四九—八一四)が考案したものとされている。『勅修百丈清規』五(正蔵四八・一一三九上)によると、相伝前の僧が褊衫だけ、裙だけであるのを見て、これをつなぎ合わせて直綴としたことが記録されている。以降、禅宗を中心に僧侶の基本的な法衣となる。『啓蒙随録』初編二には「吾宗の法服に三種あり。一に道具衣、禅宗よりの名なり。又装束衣と云う。二に素絹、三に直綴なり。俗にふくさ衣と云う」(『明治仏教思想資料集成』二・二四四、同朋舎出版、一九八〇)とあるように、浄土宗で用いる法服の一つである。かつては、直綴と袱紗衣とを単衣と袷衣、あるいは黒衣と色衣、袖裏の有無などによって区別していたが、不明瞭であることから、平成一九年(二〇〇七)より直綴は通常服で、茶衣または黒衣とし、袱紗衣は荘厳服の色衣とすることに規定された。制式はどちらも一二襞である。
【参考】堀井慶雅『法式教案』(私家版、一九三八)、宍戸寿栄『続浄土宗法儀解説』上(私家版、一九七二)
【執筆者:大澤亮我】