しんじょうげ／心浄偈

僧侶を回向する偈文。釈尊の仏徳を虚空と蓮華にたとえて讃える偈文で、もともと釈迦に対する回向文であった。現行では開山忌および僧侶遷化の際に用いている。声明ではこの偈文を後唄ごばいという。「処世界如虚空しょせかいじょきょこう　如蓮華不着水じょれんかふちゃくすい　心清浄超於彼しんせいせいちょうよひ　稽首礼無上尊けしゅれいぶしょうそん」（『集諸経礼懺儀』上、正蔵四七・四五七中）。「如来がまします世界は果てのない虚空のようであり、蓮華が汚泥に触れずに美しく咲くように清らかである。如来の心が清浄なることは、この蓮華を遥かに超えている。それゆえ、この上もなく尊き如来に深く頭こうべを垂れて礼拝し奉る」の意。『超日月三昧経』上（正蔵一五・五三二上）が出典とされるが、同経では「世界」が「世間」、「如蓮華不着水」が「若蓮華不著水」、「無上尊」が「無上聖」となっている。『諸回向宝鑑』には「釈迦回向文」（二・五オ）として、半斎儀の際にも用いている（二・一四ウ）。『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下には「能化回向文」としている（三オ）。例時作法に基づき、「四奉請」とともに漢音で唱える。

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【参照項目】➡後唄

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【執筆者：西城宗隆】