浄土三国仏祖伝集
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどさんごくぶっそでんしゅう/浄土三国仏祖伝集
二巻。応永二三年(一四一六)成立。浄土宗の三国伝灯列祖の事跡について述べた書。聖聡の作とされる。本書では、天竺四祖(馬鳴・龍樹・世親・菩提流支)、震旦八祖(慧遠・曇鸞・慈愍・道綽・善導・懐感・法照・少康)、日本五祖(行基・空也・源信・永観・法然)、三国六祖(世親・菩提流支・曇鸞・道綽・善導・法然)、震旦三流(慧遠流・慈愍流・道綽善導両流)を挙げる。この他にも、四流六派ならびに西山義の四流にも触れる。さらに、「念仏衆」の一五流を挙げていることも注目される。本書成立の背景には、当時の浄土宗が他宗から受けた寓宗であるという批判に対し、自宗の正統性を主張する意図があったことが想定される。
【所収】続浄一七、仏全一〇七
【参考】佐藤成順「『浄土三国仏祖伝集』について」(『聖聡上人典籍研究』大本山増上寺、一九八九)
【参照項目】➡浄土十五流
【執筆者:東海林良昌】