金剛
提供: 新纂浄土宗大辞典
こんごう/金剛
金属の中で最もかたいもので、金剛石(ダイヤモンド)を指す。ⓈvajraⓈvajiraの訳で伐折羅、伐闍羅、跋日羅、跋闍羅などと音写される。無色透明で日光にあたると種々の色を現し、闇中には蛍光を放つことから、はたらきが自在であること、またその堅固な性質が不変的な完全性、強さ、堅固さに喩えられる。金剛界、金剛頂、金剛杵、金剛心、金剛志、金剛身、金剛座といった仏教用語、あるいは『金剛般若波羅蜜経』の経題などのように、様々な譬喩や抽象的概念として、特に密教で多く用いられる。浄土教では阿弥陀仏の本願を堅く信じる心を金剛心という。『御消息』に「回向発願心というは、必ず決定真実の心の中に回向して生まるることを得る想をなせ。この心深く信じてなおし金剛のごとくして、一切の異見・異学・別解・別行の人のために動乱破壊せられざれ」(聖典四・五四〇/昭法全五八三)とある。また親鸞は『高僧和讃』の中で師の法然について「源空智行の至徳には聖道諸宗の師主もみなもろともに帰せしめて一心金剛の戒師とす」(真宗聖典五九六)とうたい、円頓戒の相伝者として讃歎している。
【参照項目】➡金剛座、金剛草履、金剛志、金剛那羅延身、金剛喩定
【執筆者:北條竜士】