機法
提供: 新纂浄土宗大辞典
きほう/機法
仏道修行における衆生の能力(機根)と、仏の教え(教法)をまとめて言った言葉。機教。法然は大原問答において他宗の教えについて「是等の深法みな義理巧妙にして利益最勝也。機法相応せば、得益踵をめぐらすべからず…但源空がごとき頑魯の類は、更に其の器にあらず」(昭法全四七三)と述べ、諸宗の法は大変勝れているが、我々の機はそれに堪えることができないとし、また『逆修説法』では、「彼の諸宗は今時に於いて機と教と相応せず。教深くして機浅し…唯此の一宗のみ機と教と相応せるの法門なり」(昭法全二三六)と述べ、浄土門の教えのみが末法の凡夫の修することのできる機法相応の教えであると説いた。また西山派や真宗では、衆生もしくはその信心(機)と阿弥陀仏もしくはその救済作用(法)が一つとなり、衆生の往生と仏の正覚とが同時に成就していることを機法一体という。
【資料】『安心決定鈔』(正蔵八三)
【執筆者:安孫子稔章】