祈禱
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:22時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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きとう/祈禱
神仏に心を込めて祈り、霊験・現世利益・冥福加護・救済などを願う宗教的行為をいう。祈誓、祈念、祈請、心願、祈りともいう。古代インドでは、攘災治病を神に祈ったが、仏教では本来これを行わなかった。釈尊は因果の道理を説いて祈禱を重視しなかったという。日本においては太占といったように早くから神祇に祈る習慣があったが、仏教が伝来すると、造像起塔の功徳と結び付いて、次第に祈禱が説かれるようになった。また、密教では加持祈禱というように祈禱そのものを重視する風が起こっていった。法然は『浄土宗略抄』において、念仏信仰をふまえた上で祈禱に対して柔軟な立場をとっている。
【参考】林田康順「法然上人における祈りについて—特に現世利益をめぐって」(日仏年報七〇、二〇〇五)
【執筆者:藤井正雄】