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ガンダーラ美術

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ガンダーラびじゅつ/ガンダーラ美術

パキスタン北西部の古代ガンダーラ・ウディヤーナ地方を中心に一~六世紀に栄えた仏教の視覚的表徴。建築とその荘厳の高浮彫り彫刻を総称。クシャーナ朝下、漢・ローマ間交易の経済力に護持されて造寺造塔が興り、堂塔壁面の装飾に彫像生産が要請された。素材は石膏を主とし、塗装と彫像両用に大規模に使われた。一方、豊富に産する粘板岩や緑泥片岩は石浮彫仏伝図パネルや単独礼拝像に使われ、パネル組み合わせの小塔が多数寺院内を飾った。ジャータカの事跡を記念する大塔が各地にあって、伽藍を形成した。具象性の強いガンダーラの風土は釈尊を当初から人間の姿で表現する一方、後期には石膏製如来形を小塔に大量に飾ったので、それが多仏思想を産み、一方古来のインドラとブラフマーはローマ世界などの神々と混交しつつ弥勒・観音などの生成を促し、三尊像、思惟像、交脚像など多様な尊像も生んだ。中央アジアから東アジアに波及したこの文化は、仏教ばかりでなくアジア史上多面的な意義を担った。【図版】巻末付録


【参照項目】➡マトゥラー美術


【執筆者:桑山正進】