かんじんおうじょうろん/観心往生論
一巻。伝源信作。天台の観心にもとづいた念仏実践を示す書。弥陀の本願は本来悪世の凡夫のためのものであり、その教えも末法万年の衆生のために説かれているのであるから、十悪五濁の凡夫であっても卑下することなくただ弥陀の大悲願力を仰げば往生は決定することを疑ってはならないと述べる。仏道は観心が中心でこれにより成就するとし、一念一心に三千の諸法、三諦の真実が具わる。その要は地獄界も仏法界もわが一念の心によってあるから弥陀を念じて出離をのぞめばよいと強調する。
【所収】仏全三一、『恵心僧都全集』三
【執筆者:福𠩤隆善】