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勧進

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かんじん/勧進

仏道を歩むよう人々に勧め、善行に向かわせること。ただし、例えば『四十八巻伝』に「上人勧進によりて、称名念仏を信じ、往生を遂ぐる者、一州に満ち、四海にあまねし」(聖典六・七八)や、「兵部卿三位基親卿、深く上人勧進の旨を信じて、毎日五万遍の数遍怠りなかりける」(聖典六・四五六)とあるように、浄土宗においては、とりわけ念仏を勧めることと理解される。なお『観経』所説の三福に「三つには、菩提心を発し、深く因果を信じ、大乗を読誦し、行者勧進す」(聖典一・二九一/浄全一・三九)とある。このうちの勧進行者について法然の『観経釈』は、聖道門と浄土門とを問わず、たとえ一偈一句であってもその教えを他のために説き、その功徳回向して往生の業とすることとする。


【執筆者:袖山榮輝】


造寺・造塔・造像や写経、あるいは法会の開筵、仏供・僧供といった仏教的な作善のための喜捨を勧めたり、道路・架橋・溝池の施工などの社会的な作善のための労働力の提供を勧めること。こうした勧進では、因果応報の教えを背景に果報としての罪福があるとし、作善に加わることで滅罪功徳がもたらされると説かれた。古代における行基の活動が知られ、また平安後期から寺社造営のための浄財勧募が積極的に行われるようになると、いわゆる勧進かんじんひじりの役割が重要になり組織化されるようになった。重源勧進職を勤めた東大寺復興にも、組織化された勧進聖の存在が指摘される。なお出家の姿で喜捨を求めて歩くことも勧進といい、またその喜捨されたもの、さらに施しや施しを乞うことも勧進という。


【参考】五来重『高野聖』(角川書店、一九六五)、速水侑『日本仏教史 古代』(吉川弘文館、一九八六)、大隅和雄他『日本仏教史 中世』(吉川弘文館、一九九八)


【執筆者:袖山榮輝】