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阿弥陀経略註

提供: 新纂浄土宗大辞典

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あみだきょうりゃくちゅう/阿弥陀経略註

一巻。続法撰。清・康熙三九年(一七〇〇)成立。続法は廬山の遺風を慕い、袾宏に私淑して浄業に励んだと伝えられる人。自性弥陀唯心浄土を基盤としつつ、真如実相に入る簡易な方法として浄土教を説いた。本書は華厳思想の十玄門に基づき、『阿弥陀経』を十門に分けて注釈している。十門とは以下の通りである。①教起所因。如来はただ一つの大事因縁のため、この世に来る。本経に説いている往生浄土の教えはその大事因縁である。②蔵乗分摂。本経は三蔵でいえば経蔵にあたり、乗でいえば大乗の仏乗に配当される。③時会前後。本経は転照時中の第二「中転時」にあたる。④教義分斉。化法と化儀がある中、『阿弥陀経』は化法の五種のうちでは円教であり、一仏乗に摂する。⑤所被階品。ただ阿弥陀仏名字を聞けば、必ず往生成仏できると説く。⑥教体浅深。一は随相門、二は唯識門、三は帰性門、四は無礙門であり、本経は無礙門であるという。⑦宗趣通局。通は六宗がある。一は随相法執宗(小乗宗)。二は唯識法相宗(大乗相宗)。三は真空無相宗(大乗空宗)。四は蔵心縁起宗(大乗法性宗)。五は真性寂滅宗(大乗無性宗)。六は法界円融宗(一乗法界宗)である。⑧部類差別。中国では『無量寿経』は大本ともいい、『阿弥陀経』は大本に対する小本ともいわれる。本経は部の中、小本である。類には三種があり、『十六観経』『鼓王経』『後出阿弥陀偈』であり、そして『法華経』と『華厳経』のような経典は非部非類である。⑨総釈名題。経名についての解釈がなされる。⑩別解文義。道安の科判に基づき経文を序分正宗分流通分に分けて詳細に文句の注釈をほどこす。本書は清代浄土教を知る上においては重要な文献といえる。なお末尾には「抜一切業障根本得生浄土神呪」(「往生呪」)を字々句々に解釈する。


【所収】続蔵二二


【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)


【執筆者:肖越】