南都六宗の一。唐代の基きを開祖とする。『瑜伽論』『成唯識論』などを典拠とし、唯識の立場から諸法を究明する。古代には南都六宗中で最も盛んな宗であり、元興がんごう寺と興福寺を擁して、天台宗と一乗三乗をめぐる激しい論争を行った。中世には、法然弾圧のきっかけとなった『興福寺奏状』を書いた貞慶や、念仏や禅を摂取した良遍などの旧仏教復興を推した学僧を輩出した。
【参照項目】➡基、興福寺奏状、貞慶、良遍
【執筆者:西村玲】