仏や祖師等が後人の弟子のために残す教えのこと。遺法・遺誡・遺訓ともいう。『仏遺教経』を釈した智旭の『仏遺教経解』には、「遺とは胎留なり、教とは訓誡なり」(続蔵三七・六三九上)と示している。『四十八巻伝』六には「ただ善導の遺教を信ずるのみにあらず、また篤あつく弥陀の弘誓ぐぜいに順ぜり」(聖典六・六二/昭法全四六〇)とある。法然の『一枚起請文』もこれに相当する。『逆修説法』五七日には「如来の遺教皆失し、住持の三宝悉く滅すべし」(昭法全二六八)とあり、末法の世で残る法門は、念仏一門であることを記している。
【執筆者:瀧沢行彦】