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仏遺教経

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぶつゆいきょうぎょう/仏遺教経

一巻。具名は『仏垂般涅槃説教誡経ぶっすいはつねはんりゃくせつきょうかいぎょう』(読誦時は「ぶっしはつねはん…」と読み習わす)といい、『遺教経』『仏臨般涅槃経』とも略称する。鳩摩羅什訳。釈尊入滅に際して弟子たちに示した最後の説法の様子を描いたもので、仏滅後には戒を大師として五根を制し、放逸することなく禅定を修して、真実の智慧を求めるべきことを説いている。本経の梵本は確認されていないが、『仏所行讃』五「大般涅槃品」や『仏本行経』七「大滅品」、Ⓟmahāparinibbāna-suttantaとの関連が指摘されている。唐の太宗が自ら勅文をもって普及するなど、釈尊の遺誡として非常に重宝され、『遺教経論』・浄源『仏遺教経論疏節要』・元照がんじょう遺教経論往法記』・智旭遺教経解』など数多くの註釈書が残されている。日本においても禅宗では仏祖三経の一つとして数えられ、涅槃会枕経通夜の際に読誦される。


【所収】正蔵一二


【執筆者:石上壽應】