ほんせいじ／本誓寺

一

東京都江東区清澄。当知山重願院。東京教区№二三二。江戸城内黒本尊供養役四箇寺の一つ。文禄四年（一五九五）の創建。開山は存応の弟子文賀、開基は徳川家康の側室英勝院（水戸・徳川頼房の養母）。文亀元年（一五〇一）飯沼弘経寺三世酉冏ゆうげいが小田原谷津（神奈川県小田原市）に創建したが、天正一八年（一五九〇）小田原落城のときに焼失し、文禄四年に六世文賀が江戸八重洲河岸（東京都中央区八重洲）に寺地を拝領し再建した。慶長一一年（一六〇六）馬喰町（中央区日本橋）に移転し、幕府御用寺として公家や朝鮮通信使の宿舎となったが、明暦三年（一六五七）、天和二年（一六八三）に、二度の大火に見舞われ現在の深川の地に移った。文政一二年（一八二九）には知恩院から伝法然自作開眼の御影の摸刻が贈られ、関東で初めて御忌執行が許可されている。明治六年（一八七三）に江戸崎大念寺から檀林号が移された。

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【資料】『浄土宗寺院由緒書』下（『増上寺史料集』七）、『江戸府内寺社書上』（『江戸浄土宗寺院寺誌史料集成』）、『山門通規』三（『増上寺史料集』三）

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【執筆者：福田行慈】

二

岐阜市矢島町。瑞華山感応院。岐阜教区№一。文安三年（一四四六）頃、演誉凝然によって建立され、天正九年（一五八一）中興の釈誉専念によって寺名が誓願寺から本誓寺に改められた。専念が美濃国加納藩主の奥平信昌と旧知の間柄であったことから手厚い保護を受け、大いに発展した。江戸期には知恩院の直轄寺院として、また美濃の触頭ふれがしらとして大きな役割を担った。本寺には当時の浄土宗教団の情勢が記録された貴重な古文書類が約六〇〇点現存しており、その大半が知恩院の関連資料である。

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【参考】宇高良哲・中野正明編『岐阜本誓寺文書』（東洋文化出版、一九八三）、『浄土宗新聞』（一九九七年一月号）

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【執筆者：伊藤瑛梨】

三

福岡県飯塚市庄司。信白山白旗院。福岡教区№一〇〇。開山は行願（—一三九六）。天正年間（一五七三—一五九二）に大火に遭い焼失する。道光の『聖光上人伝』付録三件の中、「上人道蹟第一」に列記されており、聖光の遺跡であったことが知られる。聖光が石見の教化からもどって初めて念仏教化の場所として定めた場所として伝わっている。

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【資料】『浄土宗寺院由緒書』中（『増上寺史料集』六）、『聖光上人伝』付録（浄全一七）

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【参考】藤堂俊章『聖光上人その生涯と教え』（鎮西研究所、一九九二）

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【執筆者：郡嶋昭示】