大念寺
提供: 新纂浄土宗大辞典
だいねんじ／大念寺
一
茨城県稲敷市江戸崎甲。正定山知光院。茨城教区№二三。関東十八檀林の一。天正一八年（一五九〇）江戸崎城主芦名盛重の開基。慶巌の開山。慶長五年（一六〇〇）焼失したが、同七年徳川家康から五〇石の朱印地をもらい、経済的基盤をえて復興。慶巌は増上寺存応の門下として活躍したが、当地の天台宗不動院中興の天海と親しく、天海を存応に紹介し、家康と秀忠への仲介の労をとった。元和元年（一六一五）までに檀林になっていたと考えられる。江戸時代には、大樹寺、鎌倉光明寺、伝通院、飯沼弘経寺、知恩寺などに転住する住持が多く、一時隆盛であった。明治二年（一八六九）勅願所となったが、同六年檀林号を深川の本誓寺に移した。
【資料】『江戸崎大念寺志』（浄全二〇）
【参考】宇高良哲『関東浄土宗檀林古文書選』（東洋文化出版、一九八二）【図版】巻末付録
【参照項目】➡関東十八檀林
【執筆者：宇高良哲】
二
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字上ノ田。見仏山。京都教区№三一三。知恩院二七世徳誉光然が弘治元年（一五五五）に開創。開基は井尻（秦）但馬守長助。二世明誉願生の代、永禄元年（一五五八）には、勅願寺の綸旨を賜っている。江戸期、離宮八幡宮社領内からの六石八斗余を寺領とし、触頭寺院の役目を務めた。本尊の木造阿弥陀如来立像（国重要文化財）は、証空が仁治四年（一二四三）善峰往生院において結縁したものである（像内納入品による）。
【資料】『大念寺文書』、『大山崎寺改帳』、『浄土宗寺院由緒書』上（『増上寺史料集』五）
【参考】『大山崎町史—史料編—』（大山崎町役場、一九八一）
【執筆者：加藤弘孝】
三
広島県福山市寺町。見仏山随声院。広島教区№一。開山は重蓮社大誉龍天。福山藩初代藩主である水野勝成の福山城築城にともない、元和五年（一六一九）現在の福山市神辺町より城下東側の寺町に移転した。福山藩内の触頭寺院としての役割を果たす。
【資料】『蓮門精舎旧詞』三三
【参考】村上正名『備後の寺社—くらしの中の神と仏—』（芦田川文庫、一九八七）
【執筆者：佐藤和順】
四
長崎県佐世保市早岐。見仏山来迎院。長崎教区№三二。天文一〇年（一五四一）肥後国宇土城主川尻隠岐守が現在の地に移住し、陣中仏としていた阿弥陀如来立像を本尊として当寺を開基。開山に聴蓮社諦誉を迎えた。元禄年間（一六八八—一七〇四）より度重なる火災に見舞われ、現在の堂宇は平成六年（一九九四）に再建したものである。当寺の山門は嘉永二年（一八四九）の作であり、鐘楼堂も兼ねている。
【資料】『蓮門精舎旧詞』四二
【執筆者：松野瑞光】