如法衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
にょほうえ/如法衣
袈裟の一種で壊色の七条袈裟(鬱多羅僧)。仏制に準じて作られた如法の袈裟の意味で、その様式に南山衣と天竺衣がある。南山衣は唐の道宣を祖とする南山律宗の様式で、鐶(丸環)を用いている。天竺衣は唐の義浄が天竺より伝えたもので、鐶を使わない袈裟をいう。天竺衣は、胸前の環(二輪にした紐)と背後の修多羅(二本の紐)を結び被着する。『釈氏要覧』上に、袈裟には初め紐等はなかったが、風で脱げるのを防ぐため、前の鉤と背上の紐を結び合わせる鉤紐の使用を釈尊が許し、その材質についても宝以外の牙・骨・香木等の使用を許したとある(正蔵五四・二七〇上)。南山衣の鐶はこの鉤が転化したものとする説がある。この二種の様式は鐶の有無で区別している。日常勤行式などには、通常服として如法衣を被着する。また不祝儀のときに喪主・法類としてその式に参列する場合は如法衣を被着する。伝宗伝戒の加行僧の被着する如法衣をとくに「伝法袈裟」ともいう。
【執筆者:藤倉泰弘】