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剃髪

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ていはつ/剃髪

髪を剃ること。それから転じて出家すること。剃除鬚髪たいじょしゅほつ剃頭ていず落髪らくはつ落飾らくしょく、かしらおろしなどともいい、また剃髪することを、髪を下ろすともいう。剃除鬚髪ともいわれるように、かみだけでなくひげ(や眉)を剃ることも意味する場合がある。剃髪は、袈裟を身につけることと共に、出家し僧になるために必要なことである。すなわち『雑阿含』二二や『十誦律』三四には、僧とは髪や鬚を剃り、法衣を身につけ、仏に従って出家した者のことであるとする。また釈尊剃髪袈裟を身につけ出家したと伝えられる。『無量寿経』に「珍妙衣を捨てて、法服を著し、鬚髪を剃除す」(聖典一・二一四/浄全一・二)とあるのも、それに由来したものといえよう。古来、出家して僧になるためには、剃髪し、袈裟を身につけ、戒師から戒を授けてもらうことが必要とされる。すなわち『十誦律』二三では、そのような手順で沙弥となることが示され、また『四十八巻伝』三には、「華髪を剃り、法衣を着し、戒壇院にして、大乗戒を受け給いにけり」(聖典六・二一)とあり、法然も同様の手順で出家したことが伝えられている。剃髪は、得度と共に行われることが多く、この二つを合わせて剃度という。戒名を与える際に行われる剃度作法は、この剃髪得度授戒)のことであり、それは本格的に仏道を進むための第一歩である。これが転じ、現在は出家することを得度、在俗のまま仏弟子になることを剃度と呼ぶ。また日本では、平安時代以降、特に皇族や貴族などの高貴な者の中に、剃髪し僧衣を着つつも寺に入らず、在家のまま仏道修行する者もおり、このような者を入道とよんだ。


【参照項目】➡剃度作法得度


【執筆者:石田一裕】