剃度作法
提供: 新纂浄土宗大辞典
ていどさほう/剃度作法
生死の苦海を渡り彼岸に至るために髪を剃り落として出家するための作法。剃度は剃髪得度の意。圜悟克勤『碧巌録』二に「剃度の後沙弥と為す」(正蔵四八・一五二中)というように、本来は出家を意味する語であるが、現在は出家することを得度、在俗のまま仏弟子にすることを剃度という。『法要集』上では枕経における報恩偈・剃髪偈の儀式を剃度作法としているが、広義には剃度式・得度式で行う御髪剃も含め、生前没後を問わず仏門に入るための剃髪儀礼を剃度作法と称している。枕経などにおける剃度作法は、新亡精霊を浄土へ赴かせるにあたり、身心の煩悩を取り除いて仏弟子とするために剃刀を授ける儀式である。その作法は、導師が新亡前に転座して報恩偈を一唱し、剃髪偈を唱えながら頭頂部から額、頭頂部から左側頭部、頭頂部から右側頭部へと剃刀を当てて、十念を唱える。剃度式等の場合は、和上が受者に対して仏門に入ることこそ報恩の道である旨を説いて報恩偈を復唱させ、身心の煩悩を取り除く表示として剃髪の作法を行う。
【執筆者:熊井康雄】