他力之七喩
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:28時点における192.168.11.48 (トーク)による版
2018年3月30日 (金) 06:28時点における192.168.11.48 (トーク)による版
たりきのしちゆ/他力之七喩
阿弥陀仏の本願力(他力)が不可思議であることを示す七つの譬喩。曇鸞『略論安楽浄土義』が初出であり、道綽『安楽集』上や源信『往生要集』下にも引用される。①百人の農夫が百年をかけて積み上げた高さ千仞の薪も、豆粒ほどの火種をつければ半日で燃え尽きてしまう。②足の不自由な人も船に乗れば帆に風を受け、一日で千里も進むことができる。③身分の低い貧しい人も一つの珍宝を入手して王に献上すれば、王からさまざまな褒美を与えられ、わずかな間に富と名声を得ることができる。④力の劣った人が驢馬を打ち叩いても天空に昇ることはできないが、転輪聖王の行列に従えば大空を自在に飛び回ることができる。⑤幾重にも編まれた縄は千人の男性でも断ち切ることはできないが、幼い子でも刀を揮えば瞬時に両断することができる。⑥鴆鳥が水に入れば魚や貝は死に絶えるが、犀の角が泥に触れれば皆生き返る。⑦黄鵠が呼びかければ、墳墓の下で千年も眠っていた子安(仙人)も甦る、という七喩であり、これらはもと仏智が不可思議であることを譬えている。
【参照項目】➡他力之十喩
【執筆者:杉山裕俊】