宗名
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:26時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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しゅうみょう/宗名
宗派の名のこと。この場合の宗は、教義や行業を同じくする集団のことを言う。法然は浄土宗を立てたことについて、「宗を立つる事は更に仏説にはあらず、自ら学ぶ所の教論に付きて、其の義を覚り極むるなり。諸宗の習い、皆もって此の如し。今、浄土宗を立つることは、浄土の正依の経に付きて、往生極楽の義を解り得たる先達の、宗の名を立てたまえるなり」(「禅勝房に示されける御詞 其四」昭法全六九七)と述べている。すなわち、法然は、宗派を開くということは、その宗派の祖師の学んできた経論の理解の結果である。今ここに、自らの宗派の名を浄土宗とし、開宗したのは、浄土教経典をもとにして、往生極楽の教えを体得された祖師方が、浄土宗という名を掲げてきたと理解したからとするのである。このように法然は、凡夫が称名念仏によって極楽浄土に往生するという教義を意味する「浄土宗」を宗名とした。浄土宗の異名には、善導宗(『徹選択集』下、『授手印』)、念仏宗(『翼賛』四三)、本願宗(『西宗要』二)、浄土真宗、一向専修宗、蓮宗などがあり、江戸時代には親鸞の末流と宗名争いをしている。宗名の立て方については、経典名(華厳宗など)・論名(俱舎宗など)・開祖名(日蓮宗)などをもとにする場合がある。
【執筆者:東海林良昌】