念仏宗
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶつしゅう/念仏宗
阿弥陀仏の本願に誓われた称名念仏を修して、極楽浄土への往生を願う宗旨のこと。他に蓮宗、浄土宗、浄土真宗、善導宗、一向専修宗などとも呼ばれるが、浄土へ往生するためには本願念仏が最要であることをもってこの名称がある。日本における念仏宗の名称は、永観『往生拾因』によってはじめて用いられるが、聖光『西宗要』に「問う、善導和尚の意、正しく三部経に依りて念仏宗を立つとは、何れの処に正しく説くや」(浄全一〇・一三二上)とあり、日蓮『開目抄』に「建仁年中に法然大日の二人出来して、念仏宗禅宗を興行す」(正蔵八四・二三二中)とあり、また『歎異抄』蓮如奥書に「法然聖人他力本願念仏宗を興行す」(正蔵八三・七三五上)と述べているように、法然が専修念仏を広めて以後、主に法然の説く善導流の念仏の教えと、その門流を指して用いられるようになった。ただし、法然自身は浄土宗という呼称を用いている。
【執筆者:吉水岳彦】