禅勝房に示されける御詞
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぜんしょうぼうにしめされけるおことば/禅勝房に示されける御詞
法然が、門弟である禅勝房に伝えたとされる法語集。本題名は、黒田真洞・望月信亨編『法然上人全集』(宗粋社、一九〇六)や『昭法全』で名づけられている。各文献に散らばっていた法語を、『法然上人全集』や『昭法全』で、便宜上、本題名のもと収集したもの。しかし、収録している法語は両者で少し異なる。まず前者では、①三部経・四十八願・第十八願の法語②「禅勝房にしめす御詞」③念仏の機についての誤解を解く法語④念仏は万機を摂しているので勝れているとする法語⑤生きるも死ぬも煩いないことを説く法語⑥浄土門の修行は愚痴に還って極楽に生まれると説く法語である。後者は、(一)三部経・四十八願・第十八願についての法語(二)浄土門の修行は愚痴に還って極楽に生まれると説く法語(三)生きるも死ぬも煩いないことを説く法語(四)十一箇条問答、となっている。このうち、共通するものは①と(一)、⑤と(三)、⑥と(二)である。各々独自のものは、前者では②③④、後者では(四)である。前者の②は、後者においては、「禅勝房にしめす御詞」と題して、別に編集されている。また、前者の『九巻伝』『四十八巻伝』の文である③④は、後者においては、『十二問答』として別に編集されている。また、後者の(四)は、『醍醐本』所収のもので、前者の編集時には、まだ『醍醐本』は発見されていなかったため、前者には(四)は掲載されていない(ただし(四)の異本の『十二問答』は前者には別に掲載されている)。
【所収】昭法全
【参考】聖典四
【執筆者:角野玄樹】