一巻。源信撰と伝えられるが、真源の撰述ではないかとみられている。七六問答で形成され、さらには多数の経典論疏を引用しながら、天台の成仏論を明かした書。『摩訶止観』の一念三千の心地をもって、阿弥陀仏を念ずれば自然に速やかに極楽へ往生して成仏するとしている。また、道綽『安楽集』や善導『観経疏』にも注目しており、作者の唐代浄土教者への関心の高さがうかがえる。
【所収】『恵心僧都全集』一
【参考】佐藤哲英『叡山浄土教の研究』研究編(百華苑、一九七九)
【執筆者:和田典善】