自利は自らの利益、利他は他者の利益のこと。自利は上求菩提、利他は下化衆生を意味する。『智度論』三では「一切の諸漏尽、不悔、解脱等の諸功徳、是れ自利益と名く。信、戒、捨、定、慧等の諸功徳能く他の人に与う、是れ利益他と名く」(正蔵二五・八二上)と定義する。声聞は自利のみを求め、菩薩は自利利他の二利を行う。菩薩は自他平等の視点から自利と利他が相即の関係であるが、声聞は自利のみであるがゆえに一切法を獲得できず自利すらも浅いという。
【参照項目】➡上求菩提下化衆生、自損損他、他利
【執筆者:小澤憲雄】