いっさいほう/一切法
あらゆる法。Ⓢsarva-dharmāḥ。一切法の意味するところは多義であり、あらゆる存在やあらゆる教えなどを意味し、ものごとの総体をあらわす。仏典において一切法は様々に説かれる。例えば『俱舎論』には「一切の法を説くに、略して二種有り。謂わく有漏と無漏となり」(正蔵二九・一下)と説かれ、一切法を無漏・有漏の二種として説いている。また一切法は五蘊といわれたり、あるいは十二処や十八界といわれたり、あるいは十二分教といわれたりする。これらは説かれ方は異なるが、すべては総体を意味している。
【参照項目】➡法、五位七十五法
【執筆者:石田一裕】